カタオモイverD41
二宮くん、僕のした過ちを聞いてもらえないかな。
過ちですか?
潤くんのことが心配だったから早く帰りたかったけど、大野が俺に話しがあるというから仕事帰りに待ち合わせをした。
僕はあの日潤を脅迫した。
脅迫?
うん。
大野さんは潤くんとのやり取りを話してくれた。
翔が昔君のことを好きだったのは事実だよ。
でも、君は翔のこと全く相手にしなかったんだよね。
翔は君のことを忘れられなくてずっと苦しんでいた。
そんな翔のそばで僕は精神面でも肉体面でもカバーしたつもり。
そしていつしか翔は僕のことを愛してくれて、君のことを忘れることができたんだ。
それからの翔はアイドルとしてキラキラ輝いていたのは君も知ってるよね。
アイドルが楽しいって、イキイキと活動してるのは僕がいたからだよ。
僕がいなかったらきっと翔はボロボロのままアイドル人生は終わってたんじゃないかな。
だから君に今さら翔のことを好きだなんて言わせないから。
もし翔と両想いになったとしても僕は君たちのことを許さない。
マスコミにその事実を告げて、翔のアイドル人生を奪うから。
どういうことですか?
君たちの関係を暴露して翔の人生をめちゃめちゃにする。
そうさせたくなかったら翔には手を出さないで。
翔には二度と会わないで。
分かりました。
もうしょおくんには会いませんから。
大野さん、しょおくんのことこれからもよろしくお願いします。
やっぱりそういうことか
潤くんは自分の気持ちを押し殺せば櫻井翔の立場も幸せも守れると思ったんだね。
そして、潤くんの中に櫻井翔が溢れていたから、櫻井翔を見ることができなくなったんだね。
なのに潤くんの中で櫻井翔の存在が消えることがなかったから潤くんはずっと苦しかったんだね。
あなたの気持ち、分かりますよ。
大好きな人を取られたくないっていう必死な気持ち。
俺も潤くんをどうにかして繋ぎ止めておきたいって思うことあるから。
あなたも苦しかったですよね。
一途に想い、一途に愛していただけですものね。
二宮くん
大野さんはポロポロと大粒の涙を流した。
潤くんの気持ちを封じ込めるために言ったその言葉は許せない。
その言葉で潤くんはずっと苦しんでたから。
でも、この人も充分苦しんだはず。
だから
もう、あなたにも櫻井さんの気持ち分かってるんですよね。
はい。
なら、償ってください。
二人を幸せにしてあげましょうよ。
それで僕は潤に償うことができるのかな。
できますよ。
潤くんはずっと昔からしょおくんのこと大好きだったから。
え?潤もずっと昔から?
はい。
二人はずっと愛し合っていたから。
もう、俺たちは二人から手を引きましょう。
はい
二宮くん本当にありがとうございました。
涙を流す大野さんをそっと抱き寄せた。
大野さんは俺の胸の中で涙が枯れるまで泣いていた。